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昨今、多くのスタートアップイベントでは、ハラスメントポリシーや審査制度、内部通報窓口が設置される事例が増えてきています。これらの措置は、より公正で安全な環境を提供するための重要な一歩です。しかし、実際には制度が形骸化している例も少なくありません。子供や若者が参加するような場で、現在被害がおさまっていない事案、係争中の人物や企業が運営側に堂々と関与するという事例も依然として見受けられます。
スタートアップイベント最大手「IVS」においては、数ヶ月に渡って回答を求めてきました。本件についてはIVS本体、IVSの運営に関わる関係者に直接連絡を行ったものの、関係者からは「黙認」をするという回答やIVSからは未だに正式な回答は得られておらず、事実上「黙認」とされています。
この事案は、単に「加害者を活躍・擁護する」構造が存在するという点にとどまらず、私たちが現在推進している「公益通報者保護法」の対象に起業家も含むべきであるという課題を示唆する、極めて重要なケースであると考えています。
具体的には、以下のような問題が確認されています:
- 該当するイベントの主要運営側のVCは、被害の申告を受けた際、申告した起業家に対して、脅迫罪および名誉毀損罪(実際は該当しない)として一方的に警察へ度々通報を行いました。申告者は被害を止めることを要求しており対話と解決を望み申し入れを行っていたにもかかわらず、VC側はこれを完全に無視し、何らの対話も行わず、申告者を「加害者」として刑事事件化しようとした事案です。このような人物・組織が公的性格を帯びる国内有数のスタートアップイベント(IVS)の運営者として審査制の上で選定されていること自体が、重大な構造的問題です。この事例は、申告を行った人物が報復の対象となり得るリスクを示しており、内部通報制度が本来果たすべき役割と逆機能を生んでいます。日本のスタートアップ・エコシステムの根幹を揺るがす問題であり、制度全体の信頼性と倫理性が問われる事態です。
- また、IVSへの申告は匿名で行われたにもかかわらず、IVS側からは「加害者に申告者が特定される可能性がある」との回答がありました。このように昨今公益通報者の保護や通報者が自死をするなど様々な問題点が挙がっている上で通報者保護が十分に機能しておらず、制度がかえって通報者を危険に晒す結果を生み出している点において、制度の安全性が求められます。
制度が「存在する」こと自体に意味があるのではありません。通報者が安心して声を上げられる仕組みどころかむしろリスクになる可能性を内包する制度及び運営者の選定は看過できない問題だと考えています。
子供も若者も誰もが安心して参加できるスタートアップイベントの実現に向けて、私たちは運営側に改善を求め説明責任を求めるべく、公開質問状を送付いたします。
詳細は以下に掲載しておりますので、ご確認いただければ幸いです。

